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医薬品医療機器法、各種申請手続き、QMS管理に関するコンサルティング

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コラムcolumn

薬事行政に係るコラム <以下、新しいコメントを上部に掲載します。>

10.平成26年法改正

平成26年の法改正で、長年親しまれた「薬事法」から「医薬品医療機器等法」へ法律の名称が変わった。当初は医薬品と医療機器で法律を分ける案もあったようだが、法律の中で医薬品と医療機器の章を振り分けて整備したようだ。申請業務に係る内容として、承認事項の名称欄の変更、製造業の登録制などがある。また、QMSが改正され、製造業主体から製造販売業主体の内容に置き換わった。まずは記載整備とQMSの改訂作業に着手する必要があるだろう。

9.デバイスラグ

先の薬事法改正からはや5年が経過し、その間業務に携わっていて感じている現状の課題や問題点などを書き出してみる。PMDAより経過的なデバイスラグを解消していく取り組みがなされているようであるが、まだまだ根本的な問題がありそうである。以下に示してみた。
@ 相談業務:申請手続きなどで不明な部分がある場合は、事前面談や簡易相談でPMDAに申し込む必要があるが、簡易に電話相談で対応できる部分も増やすべき。相談に時間を取られ申請のスタートが遅れる。
A 申請手続きが複雑:申請の区分、必要な書類及び部数、料金の振り込みなどが分かりにくい。
B 照会事項が不親切:申請から承認までの間、PMDAはFAXで指摘事項の照会状を出し、申請者はFAXで回答していく。通常は、これを3〜6回繰り返すが、まだまだ無駄が多い。結局、文字だけの情報でお互いやり取りしているため、誤解が生じて無駄な照会事項が残り、時間をロスしていることが多い。また、PMDAの指摘内容が抽象的過ぎて、申請者は回答方法に迷う。PMDAは具体的にどんな資料が必要なのか指示や提案をしてもよい。FAXの紙だけでなく、PMDAから申請者へ電話での補足説明や面会の機会を作るようにして積極的に支援する雰囲気づくりも必要。(欧米ではその辺のコミニュケーションがうまくできていると聞いている)
C 1品目申請ごとに、信頼性調査やQMS調査があり、うんざりする。特に信頼性調査はフロー(段取り)が複雑で分かりにくい。果たして意味があるのだろうかという資料の要求もある。本来は申請者自身の調査ではないのだから、PMDAと試験所間で直接やってもよい。本国のデバイスラグを本当に解決したいならば、公的な試験所を設立し試験をしたら、STEDに転記などせず、そのままパスするようなシステムはどうだろう。QMS調査については、外国認定申請の際に既に提出している情報(ISO、図面、設備)などは省くべき。そもそもクラスUで第三者認証機関は実地調査をしているのだから、PMDAが現地調査をしていないのはおかしい。(クラスUの指定管理医療機器の方が厳しいのは解せない)
D 外国認定:これは手続きを簡素化して登録制にするべき。海外からの診断書などはナンセンスであるし、外人にとっては失礼にあたる。薬事法の条文に申請者の要件が規定されていれば、診断書など要求せず性善説で対応してもいいと思う。書類上は外国製造者が申請者になるが、実質は製造販売業者が書類をあつめて申請を代行しているので、日本の製造業のように随時変更届が出されないし、承認申請時に他の会社が申請した外国製造元を参照する際に日本の誰が代行したのか分からないため、更新時に書類などの整合性で困る。 やはりデバイスラグを本当の意味で解消するには、PMDAの組織や人数の見直しだけでなく、全体の見直しがない限り、限度があるのではないだろうか。

8.事業仕分(2010年4月)

 民主党政権主導による事業仕分が2010年4月に独立行政法人(以下、「独法」)に絞って行なわれた。今回は、我々薬事関連者にとって密接な関わりのあるPMDA(医薬品医療機器総合機構)も事業仕分の審査対象になった。テレビでは実況されないが、インターネットも便利になり、指定のサイトで生中継を無料で傍聴できた。こういう公開討論形式は非常に緊張感が生まれ、互いによいものだと思う。PMDAの場合、常識的に考えて他の省庁関連の本当は不要な?独法と比べたら、医薬品等の審査・安全業務という大変重要な部分を担っているため、まず、交付金の減額や廃業措置はなり得ないと思うが、ガバランス(組織のあり方)や本省である厚生労働省との関連を追及されていた。また、ずっと言われ続けている、いわゆるドラッグ・ラグ(海外と比較して医薬品等の国内認可の遅延問題)も討議された。議論を聞いていてまず分かったことは、PMDAの役員や幹部組織にはかなりの数の厚労省からの出向者が入っていることだ。独法はそもそも省庁から独立していなければいけないという大原則がさなれていないのではないか、というのが最初の論点となった。PMDA理事長の説明では、本組織の発足からの年月がまだ浅いことにより本省からの指導や専門官がまだ必要な時期であると弁明していたが、少し苦しい感じだった。確かにPMDAの場合、他の独法と比較したら、専門知識が多く求められ、本省からの支援が必要となる部分もあるが、その原則に則った組織編成をしていってもっとアピールしていく必要性を感じる。ただ、PMDAの場合は、厚労省からは現役出向者がある期間滞在し、また戻るという流れが主のようなので、いわゆる天下り的な要素はあまり見受けられない。またドラッグ・ラグ(デバイス・ラグを含む)の問題については、よりよい人員確保に努め充実化を図るという方針と、海外のFDAなどと同調しグローバル化の傾向にあるので、改善の傾向との説明であった。これについては一応期待したい。安全業務に関しては、国民にとってとても意味がある業務であり、また非常に忙しいことには第3者も理解を示していたが、例えば企業から不具合報告があった場合、PMDA側がなかなか結論を出さずに保留していることが多いという現役医師からの指摘があった。確かにイニシアティブはPMDAがとっていくべきで、最終的な結論が出なくとも、企業側も真摯な姿勢で調査結果をホームページ上で公開している以上、PMDAも途中経過のコメントは公開すべきという意見があった。あと、現場の医師にとっては、いい薬や医療機器を継続的に使用することで患者に対して貢献ができるのに、実質、健康被害が発生していない種類の回収指示は困るという意見もあった。要は現場での不具合のリスクは小さくて、そのまま使っていても患者への貢献度でメリットが大きいケースも多々あるということだ。ある製薬会社の臨床試験レポートに改ざんがあったことについては、PMDA側が見抜けなかった点を追求されていたが、私個人的には、PMDAがこのように性悪説で重箱の隅を突くような見方をしてもらっても審査が長引く傾向になるので難しいのではないかと思った。結論はPMDAの方針が尊重され、今後も人材の充実化を図るということで終わった。このように公開討論することで、一般的な視点で考え直すいい機会になったと思った。

7.みなし期間の終了近し、混乱の予想か?!

 いよいよ平成22年を向かえ、3月いっぱいでみなし期間を終える業者が多々あると予想される。これは平成17年3月に、いわゆる業態の”繰り上げ更新”をしている会社が多いからだ。よって、この時期に予想されることは、@製造販売業/製造業の更新、AQMS定期適合性調査申請、B外国製造業者認定の申請 の3つの申請が殺到することが予想される。@については、都道府県の管轄であり、各都道府県の方で混雑が予想される。ただし、QMS定期調査の方は前だおして行なっているようなので心配ないだろう。Aについては、海外製造書についても定期調査を行なう必要があるが、管轄の総合機構からは特に案内を出しているわけではなく、結構、忘れている又はこの仕組自体を理解していない業者が多いような気がする。年末に現状把握の通知が厚労省から各都道府県宛に出されたが、これは機構側でどの位の申請件数が予想されるかを把握したいためであろう。適合性の申請は21年10月頃から、期限ギリギリの22年3月頃までの間に殺到すると考えられ、機構内でもかなり混乱をおこすのではないだろうか。Bについては、平成21年までにだいぶ申請が終わっているようだが、おそらくまだあるだろう。しかも平成22年の後半からは、すでに認定を取得している外国製造業者がはやくも5年を向かえ、更新も始まる。外国認定については、その他の問題も含まれている。例えば、複数の日本の会社が同一の外国製造業者を使用している際に、だれが代表で更新を行うのか。重複で認定されている外国製造業があるが、どれを残すのか等である。この問題は早急に厚労省から考えられる問題のQ&Aを出してほしいところだ。
また、業態更新、QMS調査、外国製造業ともに有効期間は5年であるため、次の更新(平成27年)でも同じような混乱が予想される。本来、業態の有効期限はほどよくばらけていたのに、平成17年の繰上げ更新により、スタートラインを合わせてしまったがために、その後5年ごとにまとまって申請がなされるということは当時は予想していなかったのだろうか。とにかく、平成22年度1月〜4月あたりは各都道府県、機構でかなり混乱することが目に見える。

6.申請料金改定と現状

 平成21年4月にいくつかの通達が発表された。まず、後発区分の新設である。ただし、これは旧薬事法時代にはあったため、”復活”といった方が正しいかもしれない。これにより、承認基準がない品目については、新医療機器、改良及び後発の3区分に分類される。料金はこれらの区分とクラス(U、V、W)の兼ね合いで異なる。料金は全体的に値上がっている。これは、今後、機構の審査時間のスピードアップのための審査員増強に先立ったものであると説明されており、今後は、5年以内に申請区分により3トラック制(審査員のラインが異なる)でなるべく早く審査を完了するということだが、本当にそうなるのかは甚だ疑問だ。現在でも審査チームによりかなり審査時間に差が生じている。明らかに事務的処理時間をオーバーしているケースも少なくない。また、今回の料金の値上げだが、数年前を知っている者としては、驚くべき値段の高さになったものだと痛感する。例えば、クラスUの医療機器で承認基準がない場合、例えそれが後発区分に該当するとしても、承認申請で約150万、これに、外国認定申請やQMS調査申請の料金が加われば、トータルは185万くらいになってしまう。さらに、人件費(薬事コンサルタントに依頼する場合も含む)すると、250万以上となる。なお、QMSは数年ごとにサーベランスが入るため、維持費も必要である。
それから、料金設定について少しおかしいな箇所がある。製造業者のみ変更になる場合の「迅速一変」や軽微な変更の「特定一変」も、通常の一変の料金と同じ設定であることである。迅速等の場合は、審査もほとんどないはずなのに個別の料金設定がない。
これらのこと、果たして行政側は小さな医療機器会社において、どのくらい負担がかかることかを分かっているのだろうか。せっかく苦労して承認を取得しても、あまり売れる見込みがない 製品ならば、費用対効果で赤字になってしまうだろう。この審査システムや料金体制のままでは、日本の医療機器導入は遅れるばかりであると危惧している。

5.施行後3年が経過して

 改正薬事法が施行されてはや3年が経過した。最初の2年くらいまでは当局に電話で確認を取ったりしながら手探りで対応していたが、今では主な手続きはひと通り経験し、書類作成要領も大体把握してきた。医療機器の場合、クラスUの指定管理医療機器に関しては、認証機関が審査をするが、個々の機関の特色も分かってきた。会社の規模や案件の種類によって、その特色を鑑みて適当な認証機関を選択するのが良いと思う。ただ、認証機関によっては癖のようなものがあるため、できるなら同じ機関へ申請を出していった方が申請書を作る上で楽だと思う。さて、今、問題となっているのは総合機構の方である。何しろ認可までのスピードが遅い!割とスムーズに照会事項を対応していっても、QMS調査を含めて認可まで1年以上かかる。原因として考えられるのは、申請者側の申請書・STEDの質の問題もあるとは思うが、総合機構の担当が途中で代わったり、照会事項の回答をしてから次の照会事項が届くまでが長すぎる。私が考えるに、STEDの要件や構造がまず複雑すぎると思うし、また記載事項の重複箇所が多い。もう少しコンパクトなものに出来ないのだろうか。これでは無駄に照会回数が増えてしまい、申請者、総合機構ともにチェックをする手間に時間がとられてしまう。結局は、法改正によって新フォームを導入してかえって時間がかかっているのが現状ではないだろうか。また、QMS調査だが、品目ごとに全てを調査するのはどうかと思う。最初の1回目は、品質マニュアル、構造設備、手順書、製品標準書すべてをチェックする必要が勿論あるが、2回目以降(他社が対応した場合も含む)で変わってくるのは基本的に製品標準書だけなので、差分だけをチェックするだけでいいと思う。しかも、QMS調査の内容は、外国製造認定や承認申請書に既に記載がある内容も重複しているので、それらは総合機構内の部署間で完結できれなよいと思う。それと、クラスによってもう少し厳しさを分散してみてはどうだろうか?クラスUで基準がない場合、第3者認証機関ではなく、総合機構への申請になるが、照会の内容が厳しすぎると感じることが少なくない。もともとリスクが低いのだから、その辺をもっと考慮していただけないものか。私が思う理想的な審査の事務期間は、クラスU(指定)で3ヶ月、クラスU(基準外)で6ヶ月、クラスVで10ヶ月、クラスWで1年 というのが個人的な考えである。

4.時間とコスト

 改正によって業者を苦しませているのが、新フォーマットによる申請書の作成とそれに伴なうコストの増大である。医療機器を例に取ると、まず申請書がSTED方式(添付資料概要)となり、申請書の作成のためにメーカーから取り寄せなければいけない製品情報、試験データの増大により、申請書をうまくまとめること自体が非常に難しくなった。初心者にとっては、100ページ以上の申請書を作るのは完全にお手上げである。また、外国製造者認定、日本の基準に対応するための追加試験実施費用、規定基準書を作成・維持するためのコスト、GMP審査のための審査・出張コストなど、たった1品目で数百万のコストがかかってしまうことも珍しくない。資本力がある会社ならまだしも、世の中を引っ張る中小企業で海外から新製品を導入する時間とコストがかかってしまうことは、正直なところ、わが国の医療・経済にとってこれで本当に正解だったのだろうかと考えさせられる。この状況により言えることは、今後は専門スタッフ(特にマーケティングと薬事)が製品導入時にキーマンとなり、その良し悪しによって会社の方向性、経営状態に影響するのではと思う。とくかく、スピーディーかつ正確に、というのが求められる。それには沢山の最新情報の収集が必要となり、無駄な時間やコストを出来るだけ回避していかなければならないだろう。そういう意味で、我々コンサルタントの役割は非常に重要なものとなることを自覚している。

3.どう受け止めたらよいか?

 改正法への対応力は、当然、資本力、人材力のある会社の方が有利なことは間違いないが、既存の会社を保護することも大切な要素であるから、行政も無理に押し付けるような方法は取らない と予想する。平成17年3月末に、かなり大量の通知が出たが、問合せをしたところ、まだ行政側でもその解釈や新法への準備が間に合っていないようだった。よって、業者側が 情報を把握してきちんと対応できる時期も多少ずれ込むと思われる。1,2年は何やらごたごたとすると予想する。よって、あまり焦らずに1〜2年間かけて社内整備を行うといった気構えでのぞんでみたら、どうかと思う。行政側の 意向と申請者側の対応が明確になるのは、おそらく数年かかると思われる。 ただし、勿論、要件化された主な事項はすぐに整える必要がある。

2.法律改正と業界への影響

 今回の改正は、視点を変えると、ある意味、業界への参入者を制限する効果が働いている。つまり、会社がそれなりの要件や資金力を備えていないとゲームに参加できないということである。 ハードルが高くなったということである。資金力が必要だと書いたのは、申請手数料の値上げ、品質管理マネージメント維持管理のための設備・人件費の増大による。それと今後はより戦略的なマーケティング力が必須になるだろう。今までは、なんとなく売れそうだという感覚で薬事申請 をしていても、それほどのリスクは無かったが、改正後は本当に薬事申請をクリアして、かつ、売れるという計画性及び確信が事前にしっかりとなされていないといけない。 ただ、それをはじめにクリアした会社は、当面の間、市場を制覇することが可能になるだろう。そういう意味で、かなりインテリジェントな業界に変わっていく。

1.薬事法と医療業界

 医薬品や医療機器は、直接人体に作用するために、他の製品以上にその品質、効能、安全性等を精査する必要があるということは言うまでもない。当然、 国民の保健衛生の向上のために然るべき手続きを経て認可がされなければいけない。例えば、電化製品などに比較したら、開発から販売における過程の間に、承認申請、認可(場合により、臨床試験)というプロセスが入るので、それなりの時間とコストがかかる。ただし、それが市場性と医療貢献性において 優れた製品であれば、それなりの引き合いも期待できる。しかも、医療製品は利益率がよい。だから、開発・承認申請などでコストがかかっても、それを短期間で回収するの も困難なことではない。このあたりに医療業界特有のムードがある。一方、「薬事法」とは簡単に言えば、より良い製品を適切な方法で販売し、国民の保健衛生の向上をめざすという趣旨のものである。従って、行政が規制を行う際に一番難しいのは、何といっても締め付け具合のバランスである。法律を緩くすれば、市場に出る医療製品の品質・安全性が低下する懸念がある。当然、重大な事故が発生すれば、 国民の非難は行政側へ向けられる。といって法律を必要以上に規制してしまっては、経済 の低迷や、海外などで医療に貢献している優れた製品の国内導入時期を妨げるなど、医療への貢献度が低下する。つまり、逆効果もありえる。法規制の難しさは、この点に尽きる。このバランスを 考慮した上で今回の改正を分析してみても、締め付け度合いが強すぎる気がしないでもない。勿論、行政サイドは、表面に見えないレベルでこの改正をもって 近い将来の法律の仕組み、秩序などを展望していると思うので、その狙いは尊重すべきことではあるが・・・。


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